第四章 ポスト・モダニズムの挑戦とキリスト教神学の脱構築
7.「物語神学」_in_detal
2011/07/25
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過去の福音主義神学に見られる啓蒙主義的な一種の合理主義の影響を清算して、キリスト者の生活と思惟における聖書の役割をより具体的に明確化する上で、物語の強調は有益
- 物語神学の立場
- 聖書の歴史的文献的成立過程を遡行的かつ通時的に探求してきた歴史的・批評的研究
- 聖書正典の際限なき断片化≠「や解体≠ニいう危機的現実
- 聖書のバビロニヤ捕囚
- リベラリズムの「近代性」・「現代性」への還元の方法の結果とその限界
- 重大な行き詰まり≠フ状況の深刻な受けとめとその超克の道の探求
- 聖書を字義的・命題的な真理を強調する伝統主義への復帰 ×
- 「物語」という新しい文学的ジャンル≠ノ着目
- 見失われてきた聖書の総体∞統一性≠ニ聖書のインパクト、メッセージ性≠取り戻す
- 「ポスト・リベラル」と「ポスト・コンサヴァティブ」の両面性をもった「第三の立場」
- ティレンス・ティリー『物語神学』1985
- 旧約聖書=神とイスラエルの物語
- 福音書=not イエスの人物史 but イエスとの出会いによって影響を受けた人々により語り継がれた物語
- キリスト教信仰
- 神の存在・神の世界に対する計画−特定の形而上学的教説 ×
- 世の世界観に対抗するひとつの世界観 ×
- not 命題的真理・教理の知解とその受容 but 個人の生や共同体のあり方を啓発させる「生きた信念」(living convictions)
- 物語の真理性=not 史実的歴史の提供 but 読む者を実存的に照明
- 福音の理解・伝達
- 物語−人間の審美的感性・想像力をかりたて、絵画的迫力をもった言語活動の様式
- 論理実証主義・合理主義による理性のパラノイア(偏執症)=|きびしく反省
- 物語神学の意義
- 歴史的・批評的研究の限界・問題性−再確認
- 文学的・審美的ジャンルに注目−フォーカスを聖書そのものに
- 科学的言語のみを真とする−論理立証主義の立場に対し
- 分析哲学の一潮流に助けられながら−宗教的言語の意義と権利を立証
- 物語神学の問題性
- 聖書−神の存在に関する情報・世界と人類に対する神の意思・計画を伝えるものではない
- →信仰が内臓する形而上学的側面の意味・解明−不十分
- 聖書−宗教的想像力の啓発と鼓舞という機能面からのみ扱う
- →人類に対する神的真理に関する預言的告知の書・普遍的規範性の立証−欠落)
- 神学の概念の問題−特定の信仰伝統に関する一種の記述的≠ネ営為・喚起的≠ネ学に
- →神学は神と世界に関する神の経綸≠フ解明・立証−から離れている