ヘンドリクス・ベルコフ
聖霊の教理
15/03/28
○ 序
ヘンドリクス・ベルコフの「聖霊の教理」との出会いは、R.H.カルペッパーの名著「カリスマ運動を考える」の重要参考文献のリストの中で、「聖霊の教理」としては最良の書であると記されていた。そのころは一宮基督教研究所卒業後、助手として2階の南側の一室に住み込んでいたときだった。書店に問い合わせると邦訳は絶版とのことだったので、洋書で取り寄せて部分的に読んだ。あるときふと母校である関西学院大学の宗教センター図書館に行ってみた。すると棚に邦訳の「聖霊の教理」があった。丁寧に読んでいって感動した。さっそくコピーしていまも手元にある。わたしの福音理解にきわめて重大な影響を与えた書物のひとつである。直接にお会いしたことはないのであるが、その教理的指導を深く感謝する恩師のひとりである。わたしもインターネットを通してであるが、そのような教理的感化を与えて感謝されるものとされたい。これは祈りである。
特に、第4章「聖霊と個人」の「義認、聖化」に続く再生の第三要素「召命」の議論は、きわめてすぐれたものであり、「聖霊は義認においては、われわれの中心を占有するが、聖化においては、われわれの人間性の全領域を占有する。そしてわれわれの中に満ちることによって個性を占有する。この個性というのは私だけが持つ特別なしるしであり、生全体のために私がなすべき特別な貢献である。聖霊はそれを神の国全体のために取り上げて用いる。」通常の組織神学の救済論では義認と聖化(そして栄化)をもって扱われるケースが多いのであるが、ベルコフは義認、聖化を取り扱った後、第三の面を「召命」と題して取り扱っている。「義と認められ聖化されたキリスト者は、今やキリストのわざに参与すべく、証人たるべく召されている。」また「聖書は召命の物語」であって回心の物語であるだけではない、と指摘している。
「神は霊である」
聖霊とキリストの二重の関係
挙げられたキリストの働きとしての聖霊
伝道の優先性
伝道に関する神学的怠慢
キリスト論および終末論との関係
伝道の任務を遂行する聖霊の働き
聖霊と言
聖霊・伝道・教会
聖霊・伝道・個人の救い
聖霊・教会・個人
教会における聖霊の二重の働き
制度的側面
共同体(交わり)的側面
両者(教会の制度的側面と共同体的側面)の関係
歴史的変遷
支配的概念−再生
義認と聖化の道
キリストと共に死にまたよみがえる道
再生と経験
再生の第三の要素は?
第三の賜物の性質
霊の賜物の多様性
諸教会と分派の中に見られる真理と非真理
創造と保持における聖霊
神の霊と人の霊
イスラエル史における聖霊
キリスト教化の過程における聖霊
聖霊の終末的連関
キリスト・聖霊・救いの完成
三一神論の教義における聖霊
聖霊は三一神の第三位格か?
神とキリストと聖霊の関係