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福音派の源流と歴史的遺産

D近世における四つの流れ
とアルミニウス主義

16/04/13


近世における四つの流れ

アルミニウス主義


近世における四つの流れとアルミニウス主義

1.四つの流れ(信仰類型)


(a)ルター派…キリスト論的・救済論的神学方法


ア)マルティン・ルター(1483-1546)

  1. ウィンテンベルク教会「九十五箇条提題」1517

  2. 聖ペテロ寺院の資金集めの免罪符への反対

  3. 「人の救いはお金では不可能!」


イ)メランヒトン・1497-1560・


ウ)改革の主張−

  1. 「ドイツ国民のキリスト者貴族に与える書」…

    1. 聖職者の優越性の否定

    2. 聖書解釈における教皇の裁量権の否定

    3. 教皇による公会議の召集の否定

  2. 「教会のバビロン補囚」…

    1. ミサの教理の否定

    2. 怒りの神におけるミサの問題

  3. 「キリスト者の自由」…

    1. 信仰による罪の赦し

    2. キリストとの人格的交わり


    《Q&A》ルターとルター派正統主義について…ルターによる荒削りの神学を後継者たちが整合性のある体系的神学に。


(b)カルヴァン派…有神論的神学方法

ア)ツウィングリ(1484-1531)…

五歳より英才教育、十歳でラテン語、ベルン大学、他、古典研究家


イ)ジャン・カルヴァン(1509-1564)…

パリ大学で法律学、最高の学問、聖書注解者・「キリスト教綱要」プロテスタント神学の金字塔


ウ)改革派・長老派の流れ−スイスを中心として


* ルター派とカルヴァン派の相違−

  1. 聖餐…パンとブドウ酒は、

    1. カトリック…キリストの物質的からだであり、血である。(実体変化)

    2. ルター派…物質的からだと血を含んでいる。(共在)

    3. 改革派 …霊的にからだと血を含んでいる。(臨在)

    4. ツウィングリ派…からだと血を表現している。(象徴)

  2. キリストの二性の関係

  3. 律法と福音の関係…

    1. ルター派 …断罪的用法

    2. カルヴァン派…規範的用法

  4. 教会と国家の関係

  5. 神の一般恩恵の理解

《Q&A》カルヴァンと予定論について



(c)アナバプテスト派(宗教改革急進派)…原初主義

 ア)アナバプテスト(再洗礼主義者の意味)1523年スイスのチューリヒで始まる

 イ)幼児洗礼認めず→入会者に改めて洗礼

 ウ)強調点…

  1. not教会の改革、改造but初代教会への復帰と復元

  2. キリスト教の本質−・ディサイプルシップ・

  3. 真実の回心の体験ときよい生活への決断→自由教会・フリーチャーチ・

  4. 愛と抵抗の倫理−戦い、暴力、死刑に反対する絶対平和主義


《Q&A》ユスティニアヌス法典と再洗礼について…ユスティニアヌス法典では再洗礼の禁止(中世6世紀の東方・西方にわたる基本法)



(d)英国のプロテスタント…中道主義


ア)英国王ヘンリー八世−カトリックからの独立・1533・…「国王至上令」、修道院の領域の没収

イ)ジュネーブのカルヴァン主義(エドワード六世:急速にプロテスタントへ)→ローマ・カトリック主義(メアリー一世:カトリックへ反動)→英国国教主義(エリザベス一世:アングリカニズム[中道])

ウ)三十九箇条・1563・−

  1. 中庸主義

  2. エラストース主義的改革…国王が国の宗教のあり方を決定する

  3. チューリヒ・ジュネーブの精神…英国人の気質、穏健・忠誠心

 《Q&A》英国のナショナリズムについて



2.アルミニウス主義の台頭


(a)アルミニウス主義


 ア)アルミニウス主義−notアルメニアbutアルミニアン派、アルミニウス主義

 イ)ヤコーブス・アルミニウス(1560-1609)

  1. ベザに学び、ライデン大学教授

  2. カルヴァンの予定説に疑問

  3. カルヴァン主義者ゴマルス(1563-1641)との論争

  4. 支持者ウーテンボハールト「建白書(レモンストランティエ)」提出−政府に認可求める

¢「キリスト教綱要研究」丸山忠孝・・予定の位置付け
¢「新キリスト教辞典」/「アルミニウス」,「予定論」
¢「教理史」丸山忠孝・・アウグスチヌス・ペラギウス論争


(b)ドルト会議(1618)

ア)出席者130名、うち28名は外国代表(アルミニウス派は被告席)

イ)両サイドの比較表

  1.  アルミニウス派

    1. 部分的堕落、部分的無能性

    2. 条件的選び

    3. 不特定の贖罪

    4. 可抗的恩恵

    5. 相対的保証

  2.  カルヴァン派−”TULIP”

    1. 全的堕落、全的無能性

    2. 無条件的選び

    3. 限定的贖罪

    4. 不可抗的恩恵

    5. 聖徒の堅忍

    ¢「教会史」ケアンズ、p.435・・出席者の状況
    ¢「宗教改革教会史」ウォーカー・・歴史的背景
    ¢「カルヴィニズムの五特質」、エドウィン・パーマー、つのぶえ社
    ¢「改革派教理学教本」岡田稔


(c)英国教会

ア)ウィリアム・ロード(1573-1645)

  1. オックスフォード大学の総長を歴任

  2. カンタベリー大主教に任命・1633・−教界、政界の第一人者

  3. 主教制の神権主張、アルミニウス主義を登用

イ)メソジスト派の英国教会からの独立(1784)

  1. メソジスト派−アルミニウス主義を継承

  2. メソジスト派→ホーリネス、ナザレン、アライアンス、フリー・メソジスト、ペンテコステ派の流れ

ウ)バプテスト派

  1. カルヴァン主義に立つバプテスト(特定救済主義)

  2. アルミニウス主義に立つバプテスト(普遍救済主義)

¢「教会史2000年」丸山忠孝、p.190
¢「契約神学」丸山忠孝
¢「ピューリタニズム研究」丸山忠孝

(d)バーナード・ラムの指摘

 エバンジェリカル・ということば

  1. 両者を包容しうる

  2. 共通の中心的主張

  3. 神は神学より大きく、聖書は組織的成文化より豊か

  4. 共通の敵としてのリベラリズム