ICI ホームページ表紙 JECの源流と遺産 アイデンティティ バプテストの信条 W・ニ著作背景 ケズィック運動 歴史神学の視点 SPキャンプ神学 SPキャンプメモリー 組織神学とKBI 義認と聖霊のバプテスマ 福音派対カリスマ派? 契約主義とディスペンセーション主義? レストレーション運動? ダビデの幕屋? キリスト教シオニズム? 新しい価値共創プロセス キリスト教の亜流の正統信仰へのチャレンジ 「レストレーション運動」についての考察@ 「レストレーション運動」についての考察A


日本福音教会 あれこれA(安黒試論)

バプテスト教会の信条

17/06/03


  「JECとは一体どのような群れなのですか?」「JECの信仰告白はどのようなものですか?」などと質問を受けたことを思い出す。大学生のときのことである。クリスチャン学生の集まりである「聖書研究同好会ポプラ」にはいろんな教派のクリスチャンが集まっていた。交わりの上でお互いの信仰について、教会・教派について、自己紹介することは大切なことである。しかし、わたしは「イエスさまを単純に信じているだけです。」というのが精一杯で、あまりに自分の所属する群れの信仰について無知であった。そのときはそれでもよかったが、霊的に成熟をめざしていくとき、自己と所属教派のアイデンティティの理解を深めることは大切な要素ではないかと思うのである。JECはスウェーデン・オレブロ・ミッションの宣教師によって形成されてきた群れである。そしてオレブロ・ミッションはバプテスト運動という背景をもつ教派でもある。そこで、このページでは「バプテスト教会はいったいどのような信仰(信条)をもつ群れであるのか」の輪郭を確認してみたい。

バプテスト教会の信条

バプテストとは何か。どこに由来するのか。@バプテスマのヨハネから、Aアナ・バプテストから、しかしバプテスト運動とアナバプテストとを歴史的に結び付けることは難しい。B英国の宗教改革の中から出た。国教会(聖公会)内部での改革をあきらめ、そこから分か出た分離主義者(16世紀末〜17世紀)である。彼らは、オランダのアムステルダムなどに行き、思想的にアナバプテスト的主張を担う分離派の教会ができる。

その特徴は、

  1. 信条的でない。つまり信条をもとにして教会を形成していく性格のものではない。綿密ではない「教会論」からこのようになった。シュライトハイム信仰告白によれば「ここに集まったすべてのものが信仰告白する。」とする主体的な信条である。つまり、@「集まった信仰者」によって、A「信条および教会」ができる。

  2. バプテストの信仰を組織的に提示してはいない。彼らは信条が聖書にとってかわることを恐れた。彼らの信条は簡易信条主義で、聖書の教えの主要なポイントをあげていく、聖書は聖書のみで十全であるとする考え方であり、群れの一致のためにかなめとなる信条のみをとりあげている。(これに対して、ウエストミンスター信仰告白などは「この信条がもっともよく聖書を解説している」とする信条主義である。)

  3. 自己の教理的立場を、他のグループから区別するため弁証的に信条が用いられる。そしてそれは教会員の教育、聖書研究の手引きとして用いられる。

  4. 信条は永続的なものではない。教会の主体的な主張により、自由に信条を作ったり、変更したりもできる。彼らはかなり広い立場の枠をつくり、その中での個人の自由をゆるす。(アナバプテストと共通する。)

  5. 信仰告白における個人の主体性が強調されている。信仰告白は個人が先にある。(ルター派、改革派は教会の告白が先にある。その教会の告白を受け入れる信仰者を教会に受け入れる。)そして教会の信条にあわなくなったら、自由に教会を変えられる。個々の教会の自主性を認めており、これを拘束する信条を認めない。

  6. 宣言的性格をもつ。この世そして他のグループに向かって。