−改革派神学入門−

改革派信仰とは何か

2018/11/17


  1. 改革派信仰とは、<神の御前に>(Coram Deo コーラム・デオ)徹底的に生きる信仰である
     
    1. 改革派信仰の本質としての「<神の御前に>(コーラム・デオ)生きる信仰」
    2. 改革派神学の歴史における<神の御前に>(コーラム・デオ)の概念
      1. カルヴァンの場合
      2. オランダの新カルヴァン主義(ネオ・カルヴィニズム)の場合
    3. <神の御前に>(コーラム・デオ)の徹底性と改革派信仰
    4. <神の御前に>(コーラム・デオ)と改革派信仰における祈りの重要性
      1. 祈りの重要性
      2. 改革派信仰における祈りの位置

       

  2. 改革派信仰とは、神の言葉である聖書を徹底的に重んじる信仰である
     
    1. 「改革派教会」という名称について
      1. 「改革派教会」と「長老派教会」
      2. 「改革派教会」という名称の歴史的経緯
      3. 「改革派教会」という名称とその精神的特質
    2. 改革派信仰と<形式原理としての聖書>の権威の堅持
      1. 宗教改革と聖書
      2. 改革派信仰における<形式原理としての聖書>の強調
      3. 改革派諸信条に見られる<形式原理としての聖書>の重視
    3. 改革派信仰における<聖書のみ>と<聖書全体>の原理
      1. <聖書のみ>と<聖書全体>
      2. <聖書のみ>と<聖書全体>の原理と説教の関係
      3. <聖書のみ>と<聖書全体>の原理と旧新約聖書の統合的理解
      4. 結び:<神の御前に生きること>と<聖書を徹底的に重んじて生きること>との一体的関係

       

  3. 改革派信仰とは、純粋な教理を徹底的に追及する信仰である
     
    1. 信仰にとって教理は必要か
      1. <信じること>と<聖書>と<知ること>との一体的関係
      2. 宗教改革者カルヴァンの場合
      3. すべての信徒は<神学者>であること
    2. 教会にとって教理は必要か
      1. 教会形成の土台としての信条の重要性
      2. 信条という土台が無いとどうなるのか
    3. 歴史的改革派教会の伝統と信条
      1. 古代教会と信条
      2. 宗教改革と信条−ルター派と改革派との相違点
      3. 改革派教会の信条に対する基本姿勢
    4. 日本の教会と信条
      1. 日本の教会と簡易信条主義
      2. 日本基督改革派教会の教会形成論と信条
    5. 神の御前に生きるための教理

     

  4. 改革派信仰とは、神中心主義を徹底的に主張する信仰である
     
    1. ルター派の<救済論的アプローチ>
    2. 改革派の<神中心的アプローチ>
      1. 改革派信仰における神中心的思考
      2. 神中心的思考における<神論>の強調
    3. 改革派信仰における<有限は無限を入れない>の原理
      1. 二つの原理
      2. ルター派の<有限は無限を入れる>の原理
      3. 改革派の<有限は無限を入れない>の原理
    4. 改革派信仰における<神の主権性と福音>との関係
      1. 神の主権性についての抽象的理解の問題点
      2. イエス・キリストの神の主権性
      3. 福音の神の主権性と人間の自由との関係

       

  5. 改革派信仰とは、予定論において救いにおける恩恵性を徹底的に保持する信仰である
     
    1. 予定論は改革派信仰の特有な教理か?
      1. 宗教改革の共有財産としての予定論
      2. 改革派信仰の特有な教理としての予定論
    2. <救いの絶対的恩恵性>の徹底的保持としての改革派予定論
      1. なぜ改革派信仰は予定論を堅持し続けることができたのか?
      2. 予定論の急所
        1. 予定論に関する一般的な誤解
        2. 予定論の急所としての「救済論的視点」
    3. 改革派予定論と伝道
      1. 予定論は伝道を阻害するのか?
      2. 予定論は伝道に勇気と熱心を与える
        1. 神の圧倒的な愛についての確信
        2. 神の圧倒的な救いの力についての確信
    4. 改革派予定論と慰め
      1. 聖化の未完成とわたしたちの信仰の問題点
      2. 選民の保持とわたしたちの慰め

         
  6. 改革派信仰とは、善き生活を徹底的に生きようとする信仰である
     
    1. 日本改革派教会の教会形成論と「善き生活」の強調
    2. 改革派信仰の歴史的伝統としての「善き生活」の強調
      1. 「真の教会の標識(マークス)」と「善き生活」との関係
      2. カルヴァンにおける「善き生活」の強調
        1. ジュネーブにおけるカルヴァンの模範
        2. カルヴァンにおける「真の教会の標識」と「善き生活」との関係
      3. ウエストミンスター信仰基準における「善き生活」の強調
    3. 改革派信仰における「善き生活」の強調の神学的理由
      1. ルター派の歴史的伝統における「善き生活」の問題
        1. 信仰と行為との関係
        2. 律法と福音との関係
      2. 改革派の歴史的伝統において、なぜ「善き生活」が強調されるに至ったのか?
        1. 神の主権性の高調との関係
        2. 契約神学との関係
      3. 改革派信仰における「善き生活」の強調と律法主義の問題
    4. 結び:日本における宣教と教会形成の課題としての「善き生活」

       
  7. 改革派信仰とは、有神論的広がりの中で文化的働きをも徹底的に尊重する全包括的信仰である
     
    1. 「善き生活」と有神論的・全包括的信仰との関係
    2. 有神論的・全包括的信仰と「創造の教理」
      1. ルター派信条と改革派信条における「創造の教理」の取扱いの差
      2. 改革派信仰における「創造の教理」の意義
        1. 改革派信仰と<無からの創造>の教理
        2. 改革派信仰と<善き創造>の教理
        3. 改革派信仰における<創造と救済>
    3. 有神論的・全包括的信仰と「摂理の教理」
      1. 改革派信条における「摂理の教理」の取扱い
      2. 改革派信仰における「摂理の教理」の意義
        1. 改革派における<摂理信仰>と歴史感覚
        2. 改革派における<摂理信仰>と賛美歌
    4. 有神論的・全包括的信仰と“グノーシス的なもの”との戦い
      1. “グノーシス的なもの”とは何か
      2. 日本のキリスト教における“グノーシス的なもの”の危険性とその克服

         
  8. 改革派信仰とは、聖書的神礼拝を徹底的に展開する信仰である
     
    1. 「神の御前に生きる」ための心臓部としての主の日礼拝
      1. 主の日礼拝の生命的重要性
      2. 有神論的・全包括的信仰と主の日礼拝との関係
        1. 有神論的・全包括的信仰と主の日礼拝との関係
          1. 有神論的・全包括的信仰における「単なる文化運動」への危険性
          2. 有神論的・全包括的信仰と贖罪信仰と主の日礼拝との関係
    2. 改革派礼拝論の中核としての御言葉の説教と聖餐
      1. 礼拝のキー・ポイントとしてのキリストの臨在
      2. <聖餐>と聖霊によるキリストの臨在
      3. <説教>と聖霊によるキリストの臨在
        1. 聖餐に対する説教の優位性
        2. 聖書的説教の重要性
        3. 教会的課題としての聖書的説教の確立
      4. 改革派教会における<説教と聖餐>の実践をめぐる問題
        1. ツウィングリ的<説教礼拝>の問題点
        2. カルヴァン的礼拝の伝統の回復と確立
    3. 改革派信仰における礼拝の基本原理
      1. 改革派的礼拝原理とルター派的礼拝原理
      2. 改革派的礼拝原理の誤解と今後の課題

         
  9. 改革派信仰とは、長老主義政治を確立し、徹底的に聖書的教会を形成しようとする信仰である
     
    1. 教会政治の重要性
    2. 長老政治の要諦
      1. 役員として長老が存在すれば長老主義といえるのか?
      2. 長老主義政治の要諦としての「共同監督」の理念
        1. 長老主義の中核としての「中会」
        2. 監督主義との関係
        3. 会衆主義との関係
        4. 長老主義の中庸性
      3. 長老主義政治と教会の王にして頭なるキリスト
    3. 長老主義政治の確立のために留意すべき問題点
      1. 教職の平等性をめぐる問題
      2. 教師(宣教長老)と治会長老の平等性をめぐる問題
      3. 会議制をめぐる問題
        1. 会議のセンス
        2. 会議の霊性と自由さ
        3. 教会会議の段階制に対する理解
        4. 法に対する理解
    4. 結び

       
  10. 改革派信仰とは、教会の自律性保持のために徹底的に戦い抜く信仰である
     
    1. 教会と国家との区別性の問題
      1. 中世における教会と国家
      2. 宗教改革における教会と国家
        1. ルターの場合
        2. カルヴァンの場合
    2. 教会の自律性の戦いと抵抗権の問題
      1. ルターと抵抗権
      2. カルヴァンとその後の改革派信仰における抵抗権
    3. 教会と国家との区別性をめぐる誤解
      1. 再洗礼派における教会と国家の分離
      2. ルター派の「二王国」にひそむ再洗礼派的危険性
      3. 改革派における「領域主権論」に基づく政教分離理解
    4. 教会の自律性と教会の国家に対する使命
      1. 問題の所在
      2. 「自由なる国家における自由なる教会」の理念
    5. 結び

       
  11. 付録:喜びに満ちたカルヴィニズム−改革派信仰における<喜びの神学>の構築
     
    1. 「ウエストミンスター小教理問答」第一問における<喜びの神学>
      1. 一つの根源的な補足としての<喜びの神学>の提唱
      2. 「ウエストミンスター小教理問答」第一問における“喜び”の問題
        1. 改革派信仰の核心としての“喜び”
        2. 「神の栄光をあらわすこと」
        3. 「神を喜ぶこと」
        4. 「神の栄光をあらわすこと」と「神を喜ぶこと」との関係
        5. 「神を喜ぶこと」の重要性
    2. 神の存在の特性としての“喜び”
      1. 神の存在の特性についての問い
      2. 三位一体の神の存在の特性としての“喜び”
    3. “喜び”の世界としての創造の世界
      1. 神の“喜び”の業としての世界の創造
      2. “喜びの世界”としての創造の世界
        1. “神を喜ぶ”こと
        2. “自分自身を喜ぶ”ことと“人との交わりを喜ぶ”こと
        3. “世界を喜ぶ”こと
    4. 救済の“喜び”とその有神論的広がり
      1. 堕落と偽りの喜び
      2. “真の喜び”の回復
        1. 「主にある喜び」−喜びのキリスト論的規定
        2. 「聖霊による喜び」−喜びの聖霊論的規定
        3. “喜び”の三位一体論的規定
      3. “真の喜び”の内容
        1. <再創造>としての救いと“喜び”
        2. 旧約における“喜び”の世界の豊かさ
        3. “真の喜び”の有神論的な広がり
    5. 終末的神の国と“喜び”の完成
    6. 結びとして

    牧田吉和著『改革派信仰とは何か』より


     牧田先生とは、日本福音主義神学会西部部会理事会、研究会議、そして改革派神学校での講義・講演、数多くの論文と著作を通して交わりと学びを与えられてきた。その著述の中で「改革派信仰は、単なる教派意識によって立つものではなく、本来キリスト教を真に聖書的キリスト教たらしめようと意図するものです。日本のキリスト教が、真に聖書的なものとなるために、改革派信仰は学んでいただくのに十分な価値がある、と筆者は確信しています。」とあります。

     わたしは、宇田進先生の下で学んだときに感じた同じ超教派的なスピリットをそこに感じています。私自身は、英国ピューリタンに発し、会衆派でバプテストの流れに属する者で、その流れの中の神学者であるミラード・J・エリクソン著『キリスト教神学』を教えています。エリクソン神学は、“穏健カルヴァン主義”のスタンスですので、牧田先生の論文、講義ノート、著作等は、エリクソン神学の見えにくいと思われる部分をさらに知っていく上で大いに役に立っているのです。私にとって、エリクソン神学の探究の道筋に宇田神学と牧田神学もまたともにあるのです。