ICI ホームページ表紙 宗教の神学 序 宗教を求める動物 宗教理解の歴史 創造の回復か神格化 自然宗教−原質 国家宗教−形式 霊魂循環と祖先崇拝 仏教とアニミズム 儒教と天皇制 神道とは何か 平田神道と国家神道 国家神道
1.キリスト者の世界観とこの世の世界観
b.宗教はどう理解されてきたか
11/07/19
ア)諸宗教・神話−キリスト者としてどう見るか
イ)諸宗教・神話−19,20世紀の一般の学問方法
1.宗教進化論の出現
ア)19世紀−ダーウィンの進化論
イ)進化論的見方の流行−文化・宗教も低いレベルから高いレベルへに発展
ウ)文化人類学者E・D・タイラーの宗教進化論
エ)文明の初期の段階−現実世界と神話の世界の未区別の人種
オ)アニミズム=自然物に霊魂(アニマ)の存在
カ)進化−アニミズム→多神教→ー神教
キ)キリスト教文化圏−最も高度に発達した文化
ク)それ以外の文化−教化されるべき野蛮な人種
ケ)西欧中心主義の歴史観−19世紀の時代精神(進化論出現以前)
コ)G.F.W.ヘーゲルの歴史哲学
サ)世界史−「普遍的な世界精神が民族精神を媒介として、その本来の自由の意識を実現していく過程」
シ)古代オリエント世界→ギリシア世界→ローマ世界→近代ゲルマン世界
ス)最後のキリスト教ゲルマンの段階−自由は完全な自己意識に達する
セ)「自由の完全な自己意識」=「近代国民国家の成立」
ソ)近代西欧諸国(プロシア国家)の成立によって世界史は完結
タ)非西欧諸国の文明「静的」−理性が自然性の中に埋没「野蛮」
チ)19世紀半ばに開国した日本−西欧の進歩思想の影響
ツ)「ヨーロッパ文明史」ギゾー、「イギリス文明史」バックル →「文明論之概略」福沢諭吉(1834-1901)
テ)文明−「野蛮」「半開」「文明」の三段階−日本「半開」の状態
2.宗教史学派の形成
ア)進化主義的なものの見方→ヨーロッパ神学に影響(宗教史学派の形成)
イ)旧約学者 J.ヴェルハウゼン(1844-1918)−タイラー説をヘブル人の宗教に応用
ウ)ヘブル人の遊牧生活の時期(アニミズムの段階)
エ)モーセによる発展(単一神教の段階)−多くの神々を認め、その中の最高神ヤーウェ
オ)カナンの諸宗教の中で成長(唯一神教)
カ)最後の段階に到達した理由−not モーセの律法 but 預言者の宗教
キ)預言者−儀式的な神礼拝をはげしく攻撃→超越的な神概念の誕生
3.トレルチとキリスト教の相対化
ア)トレルチ(1865-1923)−諸宗教の相互作用による宗教全体の進化
イ)キリスト教−ヨーロッパ史のある時期にユダヤ教・グノーシス主義・ストア派哲学との交渉の中で現われ た一宗教
ウ)キリスト教−今後、東洋の諸宗教との交渉により、さらに高い段階の宗教へ
エ)トレルチの定義−(F.シュライエルマッハーにしたがって)- 宗教とは「人間の霊魂に刻まれた神聖な感情と知識」である。
オ)諸宗教に共通して存在する普遍的な「宗教的ア・プリオリ」を想定
カ)世界の諸宗教−「宗教的ア・プリオリ」→特定の文化・環境の中で開花
キ)キリスト教−神のことば=聖書の絶対的啓示の否定・相対化
ク)諸宗教の一つとしてのキリスト教
ケ)西洋人にとっての真理の宗教
コ)アジア人−仏教、イスラム教等が真理
4.機能主義の登場
ア)20世紀−文化・宗教の見方→文化人類学において大きく変化
イ)機能主義的見方の台頭
ウ)機能主義−文化総体の中で、宗教がどんな役割を果たしているか
エ)文化−唯一の高度な文化に進化→個々別々の諸文化の存在の認知、個々別々の文化の良さを記述
オ)機能主義−文化相対主義
カ)not 一直線に絶対的真理への文明の進歩 but 並列的に各文化の共存の認知
キ)文化人類学者ルース・ベネディクト「菊と刀」−機能主義的アプローチ
ク)西洋「罪の文化」−日本「恥の文化」、それぞれに独自の価値
ケ)各文化の独自性の認知→異質な文化の間の対話が不可能に
コ)日米貿易摩擦の問題−原因=日本文化の独自性(機能主義的理解)
サ)双方のコミュニケーション−喪失、問題解決せず
5.文化相対主義の克服
ア)20世紀後半の文化人類学−文化相対主義の克服、異文化コミュニケーションの回復
イ)現代哲学の解釈学・パラダイム論との交渉→コンテクスト(文化脈)に注意
ウ)個別で特殊な文化現象の深層−普遍的な「構造」「意味の体系」の発見
エ)世界観の重要性の指摘
オ)文化の根底−文化を成立させているはっきりとした世界観
カ)世界観=文化総体に意味を与える最も基本的な概念
6.日本人キリスト者とキリスト教世界観
ア)文化の根底にある世界観を知る−最近の文化人類学の到達点
イ)その影響→最近のキリスト教宣教学(日本人キリスト者に重要問題を提起)
ウ)第一に・・日本人キリスト者の体質へのチャレンジ
エ)日本人キリスト者−明治以来、信仰を心情的に把握する傾向
オ)宗教そのもの−世界観・意味の体系として把握すること苦手
カ)みことばの力−not only 自分の生き方 but also キリスト教世界観の形成
キ)キリスト教−日本文化の中に土着していかず(最近の宣教学の指摘)
ク)第二に、日本人の文化・思想・宗教−体系的世界観との認識せず
ケ)福音の“日本化”の弱点−自らの宗教理解のうちに
コ)キリスト教信仰と日本文化の関係−埋没型、孤立型、対決型、接木型、背教型、等々
サ)not only 類型化 but also 文化の根底にある世界観まで見破る必要
シ)自己と世界に意味を与えるものとしての宗教、文化の根底にある世界観
ス)宗教こそ−世界観を決定する究極のもの
セ)世界観を決定する宗教的動因何か
ソ)キリスト者として諸宗教・神話−どう見るべきか