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3.日本宗教の原質と形式

b.日本仏教とアニミズム

11/07/19


1. 日本人の大半が仏教徒

ア)日本宗教の〈原質〉→日本仏教に強い影響

イ)本来の仏教=六道輪廻の業を断ち→解脱して浄土に至る道を教える

ウ)国家・民族と無関係の普遍宗教

エ)原則的には、無神論の宗教

オ)現世肯定的、御利益主義的な日本人に、現世否定の思想・救済の教義を付与

カ)現在、日本人の大半=名目上の仏教徒

キ)宗教年鑑で、神道が圧倒的に多いのは、住民全員を氏子と数えている

ク)仏教の中でも、日蓮系(新興宗教に多い)、浄土系、密教系の真言系が多い

2. 仏教の渡来

ア)仏教−中国、朝鮮経由で日本に伝来

イ)「日本書紀」−紀元 552年に百済の聖明王 →欽明天皇に仏像・経論若干が送られた=仏教公伝

ウ)目的=not 個人の救済 but 呪術的な国家鎮護

エ)聖徳太子(574-622)−勝鬘、維摩、法華の「三経義疏」(註解書)書いた

オ)仏教を個人救済の問題として深く理解

カ)聖徳太子のことば−「世間虚仮、唯仏是真」

3. 奈良・平安時代の仏教

ア)奈良仏教=隋・唐の諸教理を受容した南都六宗 - (山輪、法相、成実、倶舎、律、華厳)によって特徴

イ)聖武天皇・在位724-748・−東大寺、国分寺の建立/国家との癒着

ウ)平安仏教=国家から分離→最澄・767-822・の天台宗、空海・774-835・の真言宗 - 新風吹き込む→後、再び貴族の加持祈祷的な仏教へ

エ)平安末期−末法思想の流行

オ)仏教=釈迦の死後千年間−正法の時代/教・行・証
           次の千年間−像法の時代/教・行
           次の千年間−末法の時代/教
           次の千年間−法滅の時代/なし

カ)釈迦の入滅・949・−二千年後=1052年/末法の開始の年=日本の宗教改革−鎌倉仏教の誕生

4. 鎌倉時代の仏教

ア)天台宗の影響の下→鎌倉仏教の宗祖 - 浄土宗(法然)、浄土真宗(親鸞)、時宗(一遍)、日蓮宗(日蓮)、臨済宗(栄西)、曹洞宗(道元)

イ)輪廻転生にからむ現世の不安→口称念仏のみによって極楽浄土に 生まれ変わって救われる(親鸞)1173-1262

ウ)浄土真宗−絶対他力の強調、悪人正機(悪人でも救われる)、神祇不拝(日本の神々を拝まない、追善供養の不要、等)/キリスト教と比較

5. 室町時代の仏教

ア)真宗門徒ー一向一揆/政治的抵抗の力

イ)阿彌陀仏への絶対帰依→現世の政治権力をもしのぐ超越的な権威の存在

6.日本仏教の一般的特徴

ア)一般的な日本仏教ー葬式、年忌法要等の死者儀礼の請負のイメージ

イ)神道と仏教の役割分担 - 神道ー死を不浄視→仏教が死者儀礼

ウ)鎖国後の江戸幕府ーキリシタン根絶のため仏教を利用 - 「宗門改め」→すべての日本人を寺に結び、檀家制度としてのイエの祖先崇拝

エ)呪術的要素をもつ密教ー歓迎/アニミズムと神人合一の日本的宗教意識

オ)真言密教「本尊われに入り、われ本尊に入る」即身成仏説 - 真言密教→神社神道と積極的に習合、神道の理論化に利用

カ)本地垂迹説ー大日如来=本地(仏の本来の姿)、 - 諸神・諸菩薩=その垂迹(仮の姿)

キ)密教化ー天台宗にも影響 - 日本仏教の合言葉「草木国土悉皆成仏」ーアニミズム的な日本的心性 - インド仏教には全く見られない日本仏教の特色

ク)二重廻向の教えー絶対他力を説いた親鸞でさえ - 中国の善導・613ー681・、法然等・浄土宗の僧・

- not only 往相廻向 but also 還相廻向→「霊魂の循環」思想に類似

- 親鸞愛好、浄土真宗教団が最大の理由

-往相廻向ー阿彌陀仏が自己の善を差し向けて、生きとして生けるものが浄土に往生して仏になる

-還相廻向ーそして再び現世に還って、利他教化の働きをする

ケ)普遍宗教であるはずの仏教ー日本の強靱な〈原質〉に捉らえられ、日本化

コ)仏教ー日本宗教の〈原質〉を克服するほどの超越性なし

サ)鎌倉仏教ー〈原質〉克服の思想提供

シ)人間の罪性を抑制する一般恩恵の働きとして評価