ICI ホームページ表紙 宗教の神学  宗教を求める動物 宗教理解の歴史 創造の回復か神格化 自然宗教−原質 国家宗教−形式 霊魂循環と祖先崇拝 仏教とアニミズム 儒教と天皇制 神道とは何か 平田神道と国家神道 国家神道



  1. 様々な神道の登場

    1. 鎌倉時代:伊勢神道

      1. 内宮の祭神…天照大神

      2. 外宮の祭神…豊受大神

        1. 外宮の神職の家柄の渡会氏が唱導

        2. 『日本書記』…「混沌」を万物の根元のカミ

        3. 諸神、諸仏、人間…このカミに帰着

        4. 仏教とは別に−神道の主体性
           

    2. 室町時代:吉田神道

      1. 吉田(ト部)兼倶(1435-1511)により大成

      2. 虚無太元尊神(日本書記の国常立尊と同じカミ)=宇宙の根本神格

      3. 森羅万象はこのカミに起因

      4. 世にあるすべての道(法則、規範)−この根本神格からの派生

      5. 枝葉(儒教)、花や実(仏教)、幹や根(神道)

      6. 江戸時代−幕府の命により、仏教の支配外の神社の大半を支配
         

    3. 江戸時代

      1. 前期:

        1. 吉川神道 :吉川惟足(1616-1694)

        2. 垂加神道:山崎かん斎
           

      2. 後期:

        1. 本居宣長 :仏教や儒教と習合した諸神道諸説を批判

        2. 「古典にあらわれた神道の精神に復古すべき」と主張

        3. 皇室の祖先神としてのアマテラス、とその子孫としての天皇崇拝
           

  2. 平田神道:平田篤胤

    1. 宣長の継承者:平田篤胤(1776-1843)の神道−キリスト教の強い影響

      1. 禁書のキリスト教書−中国からひそかに入手し、彼の思想に取り入れた

      2. 『本教外編』(上・下)←カトリック宣教師からの盗作

      3. 上巻:M.リッチ著『き人十篇』の意訳、G.アレニ著『三山論学紀』の改訳

      4. 下巻:D.パントーハ著『七克』の翻訳

      5. 全能の創造神、三位一体、原罪、死後審判等のキリスト教教理が紹介

        1. 世の悪…責任を人間に帰している

        2. 宣長…「禍津日神」というカミに帰している

        3. 比較すると、一歩前進
           

    2. 平田篤胤著『霊の真柱』、『古史伝』…キリスト教教理をさらに深く神道理論と関係づけ

      1. 主宰神としての天之御中主神の登場

      2. 死後審判の思想の出現

      3. 宇宙支配の構造

        1. 天之御中主神…宇宙すべてを支配する主宰神

        2. 『古事記』の冒頭部分−「高天原」→「天御虚空」と改ざん

        3. 天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神…三位一体になぞられている

          1. 創造神としての「アメノミナカヌシ」の登場…神道で不明確であった宇宙全体の支配構造の明確化

          2. 大国主神の地位の向上…天孫降臨以前は国土を支配、天皇の祖神に譲り、幽世(死んだ人間が行く世界)に行き、死後の人間の審判を行う役割

          3. 審判の基準が問題…顕世において「産霊大神の命賜へる性」に背くか否か=この世で天皇の支配への服従があるかどうかに帰着

          4. 男神アダムと女神エバの話…日本からの輸出としている

            1. きわめて偏狭な皇国中心主義を露呈

              1. 平田篤胤の思想…神道を肉付けするためにキリスト教から盗みとりしたにすぎない

              2. しかし、篤胤の死後…平田派復古神道の尊皇主義を信奉する者が多数−諸藩の下級武士、神職、地主、在郷商人等、門人は千人以上
                 

  3. 国家神道の成立

    1. 幕末の尊王攘夷→尊王開国、近代への道

      1. 古代の律令国家の神祇官の復活→神々の国家統制

      2. 国家による宗教統制−地方の神社の神々や土着の新興宗教にまで

      3. 日本古代の宗教的弁証法−<形式>が民衆の宗教意識<原質>を包み込もうとする圧力
         

    2. 国家神道下の神社政策:典型例

      1. 神田明神…江戸時代、日枝山王の祭りと並び、天下祭りと呼ばれ、一年おきに交代でそのみこしが江戸城内に入る特権

        1. 創建は、聖武天皇のころ(730年)、祭神は大己尊命

        2. その後、平将門を合祀(1309年)

        3. 江戸時代−百余か町の商人・職人の氏子を得て繁栄
           

      2. しかし、明治維新以降−政府から勅祭社に准ぜられ、将門の霊は別殿に移設

        1. 平将門…平安時代、東国八カ国を平定(935年)

        2. 自ら「新皇」と称し、朝廷への反逆を企て、敗れ去った人

        3. 将門の霊を祀る…民衆の側から「一種の御霊信仰」

        4. きびしい権力支配という形式に対する<原質>からの反動
           

      3. 明治の王政復古…天皇の権威

        1. <形式>からの再反動

        2. “国賊”の霊をカミとして祀ることを禁止

        3. 再び、強力な<形式>の支配が到来

        4. 明治維新とともに−日本各地の神社に国家の統合の手

        5. こうして「国家神道」が成立していく

        6. 太平洋戦争終結までの約80年間…近代日本人の心は深くクニと天皇に縛られることになった
           

  4. 国家神道の特徴

  1. 明治政府によって創出された〈形式〉宗教

  2. 明治維新から帝国憲法発布までの二十年くらいの間に造られた

  3. 内容は古くからの神社神道と皇室神道が結びついたもの

  4. 天皇とその氏神の伊勢神宮を頂点とした

  5. 仏教の徹底的排除によって成立した