総説 現代神学
第四章 諸教会の神学
D.現代福音派教会の神学
2011/07/19
- 本テーマについて
- 福音派とは何か
- 組織神学
- 取り扱い方法
- 福音派教会の教義学的状況
- 福音派全体−introductory
- ポスト・リベラル≠フ状況および世界観の多元性
- ad fontem≠ニ主要な展開
- 19世紀後半から第二次大戦終結までの時期
- オランダ
- 英国
- 北米
- ルター派
- 長老・改革派
- バプテスト派
- メソジスト・ホーリネス派
- フランス・スイス
- 第二次大戦から現在までの時期
- オランダ
- ノルウェー
- ドイツ
- フランス・スイス
- 英国および連邦
- 北米
- カルヴァン主義系
- 改革・長老系
- アングリカン系
- バプテスト系
- ルター派
- ウェスレアン系
- ディスペンセーション主義系
- 日本
- 最近の課題と傾向
- エバンジェリカルのアイデンティティ問題
- 聖書のInfallibility・Inerrancyをめぐる論議
- 神学方法論の問題
- エキュメニカル神学の評価とそれとの対話の問題
- “Evangelical Social Gospel”
- The “wholly” Spiritの探求
- 福音と神学のContextualization
- 本テーマについて
- 福音派とは何か
- Historic Protestant…聖書を絶対的規範として福音主義諸信条に基づく聖書的思惟によって根本的に規定されている。
- 1846年結成のEvangelical Alliance(福音主義同盟)の信仰基準と
- 1974年の The Lausanne Covenant(ローザンヌ誓約)
の中に表明されている福音的信仰と宣教観とライフ・スタイルを信奉するところの改革派から聖霊派までのキリスト者の群れ、あるいは連合体(coalition)を意味する。
- Modern Protestant…カント以降の近代的思惟によって根本的に規定されている。
- 組織神学
- 取り扱い方法
- 福音派教会の教義学的状況
- 福音派全体−introductory
- ポスト・リベラル≠フ状況および世界観の多元性
- 日本のプロテスタント教会と神学界
- “mainline”の名のもとに−リベラル派支配の構図の定着
- 福音派−ファンダメンタリズム≠フ名もとに一蹴
- その背景と要因
- 元々、日本に紹介されたキリスト教−聖書主義的な神学、ピューリタン的・信仰復興的性格、エバンジェリカルなキリスト教
- 大正期から昭和期に−神学上の転機=|神学の方向性の漸次的深化
- 高倉徳太郎による道備え
- 福音の真理に関する本格的な知的弁証と日本教会の神学的自覚の確立のための方途・パラダイムとして−バルトを中心とする弁証法神学の積極的受容
- ドイツ語圏神学への傾倒
- 福音主義そのものの理解の再定義
- その後の神学の方向性を設定−神学のエリート性、日本での神学の認知の増大
- アメリカ教会と神学の影響の減退−プラグマティズムの名のもとに
- 信仰的エネルギーの減退
- 日本のキリスト教会における特定のファンダメンタリズム観の定着の問題
- 熊野義孝『基督教概論』−バルトとトレルチの綜合
- ファンダメンタリズム=聖書の機械的逐語霊感説≠ニして、そのメンタリティを嘲笑的に扱った例
- 井門富二夫『世俗社会の宗教』−宗教社会学的分析
- ファンダメンタリズム=「負け犬の宗教」、「反動形式」、「産業社会のじゃま者」
- 福音派のグローバル(世界的)な台頭・隆起
- 今世紀前半期
- ファンダメンタリズムや福音派の系統の学問的展開−反知性主義的傾向
- リベラル派と福音派−相互の深いギャップによる分断・分離、対話の欠如
- 今世紀後半期
- 日本を含め、福音派のグローバルな台頭・隆起の現実
- 教勢はいまや逆転し、かつて主流であったリベラル派は大きく後退
- かつてインディアンの保護区的存在≠ナあった福音派−伸び続ける
- こうした宗教現象の解釈・評価−評者の神学的視点により相違
- 否定的見解:ジェームズ・バー『ファンダメンタリズム−その聖書解釈と教理』
- 否定面と肯定面:マーティン・マーティ『アメリカ教会の現実と使命−プロテスタント主流派・福音派・カトリック』
- 積極的評価:G・リシャール・モラール『プロテスタント−過去と未来』
- 「全世界のプロテスタントの有力な集団」「将来のために根本的財産寄託をしている」
- 「ポスト・リベラル時代の到来」と「神学上のパラダイムの多元性の承認」
- ジョージ・マーズデン−今日のアメリカにおける三種のリベラリズム
- カント的
- ヘーゲル的
- シュライエルマッハー的
- 今日のキリスト教会内の知的環境−40年前と著しく相違
- リベラリズム−未来に対する興奮に満ちたオプションたりえず
- 信仰上の新しいパラダイムの探求−福音派の視点への注目
- 「ハートフォード宣言」(1975)
- 実存論神学、世俗的キリスト教、プロセス神学、解放の神学による
- 超越のディメンションの喪失≠ニ現代思想の優位性≠ニ呼ばれる
- キリスト教信仰のいわば近代性への捕囚現象を指摘しつつ
- キリスト教のヒューマニズム化へ抗議
- 十三項目におよぶ教会内の謬説
- 現代思想は,過去のすべての現実理解よりも優れており,従ってそれはキリスト教信仰と生活にとっての規範である.
- 宗教的立言は,理性的論述からは全く独立しているものである.
- 宗教的言語は人間経験に言及しているのであって,それ以外の何ものでもなく,神は人間の最高の創造である.
- イエスは,人間の現代的典型によってのみ理解し得る.
-
すべての宗教は同等に妥当である.そのうちから,どれを選択するかは,真理についての確信の問題ではなく,ただ個人の好みかライフ・スタイルの問題である.
- 自己の可能性を実現し,自己自身に誠実であることが,救いのすべての意味である.
- 人間的なことは善であるがゆえに,悪は可能性の実現に失敗することとして十分に理解され得る.
- 礼拝の唯一の目的は,個々人の自己実現と人間共同体を促進することにある.
-
制度と歴史的伝統は抑圧的であり,真に人間的であろうとするわれわれの存在にとって有害である.真正なる実存と真正なる宗教のためには,それらからの解放が要求される.
-
この世界が教会のために議題を設定しなければならない.生活の質を改良するための社会的・政治的・経済的プログラムは,究極的にはこの世界における教会の宣教(ミッション)にとっての規準である.
- 神の超越を強調することは,キリスト教の社会的関心と行動に対して,少なくとも障害であり,恐らく両立しないものである.
- より良き人間性のための闘争は神の国をもたらすであろう.
- 死後の希望の問題は,人間的成就についてのキリスト教的理解にとって,無意味か,あるいはよくても傍注的なものである.
- 問題の中心点
- 現代思想
- 過去のすべての世界観・リアリティ理解よりも優れており
- 信仰と生活にとっての不動の出発点・規範
- という発想に基づく信仰・神学の構築
- しかし、今日
- 人間−「我と汝」の関係から「我とそれ」の関係に疎外(M.ブーバー)
- 「知のエコロジー」論(H.Sachsse)
- 近代性と世俗性そのもの−矛盾・限界を露呈
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- ad fontem≠ニ主要な展開
- 19世紀後半から第二次大戦終結までの時期
- オランダ
- 英国
- 北米
- ルター派
- 長老・改革派
- バプテスト派
- メソジスト・ホーリネス派
- フランス・スイス
- 第二次大戦から現在までの時期
- オランダ
- ノルウェー
- ドイツ
- フランス・スイス
- 英国および連邦
- 北米
- カルヴァン主義系
- 改革・長老系
- アングリカン系
- バプテスト系
- ルター派
- ウェスレアン系
- ディスペンセーション主義系
- 日本
- 最近の課題と傾向
- エバンジェリカルのアイデンティティ問題
- Separatist Fundamentalism…反リベラリズム、反世俗主義、反共産主義、反WCCの姿勢
- Open Fundamentalism…聖書主義といわれるディスペンセーション主義をとる戦闘的でない
- 公同性と現代的レバンシーを追及する Evangelicalism…ファンダメンタリズムの反知性的体質、他界主義的傾向、分離対決主義からの脱皮
- Confessional Evangelicalism…ルター派、改革派、アングリカン派、メノナイト派等
- Evangelical Liberal−A New Middlet(C.ピノック) − Young Evangelical(R.ケヴェドー)
- 聖霊による刷新を旗印とする Neo-Pentecostalism
- 聖書のInfallibility・Inerrancyをめぐる論議
- 聖書の nature の規定づけ
- 聖書論の多様化
- 神学方法論の問題
- プリンストン学派…スコットランド常識哲学の立場−キリスト者と非キリスト者との間の common ground の想定−inferential
proof の蓄積−キリスト教の probability を立証。
- アムステルダム学派…前提主義
- カイパーの“the noetic influence of sin” と二つの学≠ニ主張−世界観対世界観の対決−total war
の様相
- 前提こそ聖書的−万物の存在原理−三一神の存在− self-authenticating
である神のみことばとしての無謬の聖書−を大前提としたアプローチ
- エキュメニカル神学の評価とそれとの対話の問題…福音派内部のバルトに関する三つの見解
-
対決的見解…この立場の代表者、ヴァンティル−カント哲学、キルケゴールの実存主義、古自由主義の諸原理(例:W.ヘルマンの立場)などとの関係を中心として原理論的分析と批判(The
New Modernism, 1946)
- 是々非々の分析論的な見解…ベルカウアーやブローシュ。
- 福音派の神学方法論構築のためのパラダイム…バルトの下で学んだラム。
- “Evangelical Social Gospel”…福音派内部における社会的責任の問題
- ヤング・エバンジェリカルの場合
- 革新的な社会論(R.Quebedeaux)
- 斬新なセックス論(B.Larson)
- 女性の自立・解放論(N.Hardesty)
- 人種差別の撤廃運動(T.Skiner)
- 保守政治の否定と“The Politics of Conscience”の推進(M.Hatfield)
- 貧困の解決と環境保護のための闘争(S.Wirt)
- legalism と code-ethic の否定()
- 世俗の中に神を見、神を反映するライフ・スタイルの推進
- 保守的なアメリカ再建論…キリスト教倫理、福音と社会、キリスト教と文化の問題
- 「宗教右翼」と呼ばれている Moral Majority (J.Falwell)
- 改革派系の Christian Reconstruction
- 国際情勢と社会変動をしっかりと踏まえた Applied Christianity の積極的な展開が課題
- The “wholly” Spiritの探求
- 背景
- Pentecostalism
- Neo-Pentecostalism
- 第三の波
- 今日の動向
- “The Missionary Spirit”の強調(1974年のローザンヌ会議)
- The “wholly”
Spirit(1985年のオスロー研究会議)では、カリスマ運動の強調点(例、御霊の賜物など)を包含した全体論的包括的な聖霊論の考究
- 聖霊の神学と“spirituality”の神学に深い関心…リベラル神学では事実上の聖霊の消失
- 福音と神学のContextualization
- “intutive”なアプローチ
- “scientific”なアプローチ
- “contextual”なアプローチ
★このページは、宇田進「現代福音派教会の神学」『総説現代神学』野呂芳男・熊澤義宣編、日本基督教団出版局、pp.187-213
のポイントを整理したものです。詳細をお知りになりたい方は、書籍をご購入ください。