ICI ホームページ表紙  福音主義神学研究B はじめに [第一部]1.岐路に立つ教会 2.近代精神の九つの相 3.モダンの発展とゆらぎ [第二部]1.組織神学の退潮 2.神学形成の資料問題 3.神の啓示 4.ポストモダニズムの挑戦 5.神の死と神の変様 6.宗教的多元主義 7.キリストの贖罪 8.教会の理解と誤解 9.終末論のゆくえ 10.福音主義と日本の教会 11.神学と霊性の問題 12.神学的動向


Part 2

第2章  伝統・経験・理性・文化と聖書−神学形成上の資料問題

2011/07/19


  1. 多元的複合説−J.マッコリーの見解

  2. 伝統・伝承(tradition)および信仰の遺産(depositum fidei)

    1. カトリックにおける「聖書と聖伝」−啓示の二重源泉説

    2. 反信条主義=A聖書主義
       

  3. 宗教経験

    1. 宗教経験の学へ−F.シュライエルマッハー

    2. 解釈さるべきものとしての経験

    3. 霊はためされねば=iTヨハネ 4:1)
       

  4. 文化と理性

    1. 「文化命令」と文化の定義

    2. キリストと文化の関係に関するニーバーの五類型
       

  5. 「聖書のみ」の原理−「拠点的資料」(A.マグラス)


 ○ 序

・教理的神学の形成−根本的重要性もつ問題−「資料」(sources)、「構成上の要素」(formative factors)

・教理体系の形成−何を資料とするのか?、何を資料とすべきなのか?、もし複数考えられるとしたら−それらの間の優先順位・相互の関係は?

・これらの問題への見解−形成しようとする神学の性格と方向性−決定づける

  1. 多元的複合説−J.マッコリーの見解

    1. 「経験」…信仰共同体(教会)への参与との関連で体験するわれわれの信仰経験の諸相。

    2. 「啓示」…信仰共同体の創始者あるいは指導者たちに、日常的次元とは別の次元から恵与された聖なるものの原初的開示の出来事。
      (典型的な例:「啓示の担い手」としてのイエス・キリスト。ホレブ山でのモーセへの神の語りかけの出来事。)

    3. 「聖書」…啓示そのものではなく、また霊感された無謬で絶対的な権威をもつ神の言葉でもない。聖書は教会をつねにその歴史的発生時の原初的啓示に注目させる一つの重要な「記念文書」。

    4. 「伝統」…伝統は聖書の競合相手ではなく、聖書の「必要な補助物」。

    5. 「文化」…神学の外に向かう♂ロ題と取り組んでいくとき、時代の「文化」との対話・交渉が不可欠。

    6. 「理性」…神学は一つの学であることからして「理性」が不可欠な要素。

      ○以上の六つの神学形成上の要素−特定の要素を中心とせず−各要素相互間の「バランス」と「緊張」を重視。

      ●このような立場−外的認識原理≠ニしての「聖書のみ」=プロテスタントの大原則は極度に後退。
      →「人が、実存論的に可能な、社会化でき、その時代に適用し、用いることのできる事柄を、 ただ聖書にあたって妥当せしめるとき、伝承のみならず、状況がまた、聖書と並んで第二の信仰の規範となる。」という問題を内包。
       

  2. 伝統・伝承(tradition)および信仰の遺産(depositum fidei)

    1. カトリックにおける「聖書と聖伝」−啓示の二重源泉説

    2. 反信条主義=A聖書主義
       

  3. 宗教経験

    1. 宗教経験の学へ−F.シュライエルマッハー

    2. 解釈さるべきものとしての経験

    3. 霊はためされねば=iTヨハネ 4:1)
       

  4. 文化と理性

    1. 「文化命令」と文化の定義

    2. キリストと文化の関係に関するニーバーの五類型
       

  5. 「聖書のみ」の原理−「拠点的資料」(A.マグラス)

    1. ルター−1521年ヴォルムスの国会−自らの聖書に対する確信を披瀝。
      「私は聖書の証し、またはその明白な理由から確信せしめられるのでなければ…。私の良心は神の言葉に捕らえられている。」神の言葉である「聖書のみ」(sola scriptura)が最高の権威であると主張。

    2. カルヴァン−「ジュネーブ信仰告白」(1536)第一項
      「第一に、われわれは、われらの信仰と宗教の規範としての聖書のみに従うことを宣言する。」と表明。

    3. 私たちの立場

      1. 「伝統、信仰経験、理性、文化」を資料・道具として用いる場合

        1. あれを少々、これも少々といったいわゆるレシピ式≠竅u多元的複合主義」の方法では、

        2. 底なしの混迷と不確かさの霧の中へ突っ込み、

        3. 神学のカメレオン化≠結果。

      2. 「聖書のみ」という宗教改革の根本原理の重さを再確認

        1. 熊野義孝氏『教義学』第一巻
          「福音主義神学は、おのずから啓示にだけ依拠する神学、具体的に言えば、ひたすら聖書に従属する神学である」と明言。

 

 

 

○宇田進「総説 現代福音主義神学」いのちのことば社、の要点を整理したものです。詳細は、資料源をお調べください。