ICI ホームページ表紙 11.神学と霊性の問題 神学研究の姿 福音主義的霊性


第11章 期待される神学と霊性の問題

第二節 神学研究と福音主義的霊性

2011/07/19


  1. 信仰覚醒の主役はどこに?
     
  2. めざすべき信仰の現実態と霊性の形成へのステップ−D.ブローシュの提言を中心に
    1. 律法主義
    2. 形式主義
    3. 人道主義的関心
    4. 超霊性
    5. 折衷主義
    6. 英雄主義
       
  3. 「霊性」は神学教育の現場から!

[メモ]

このテーマに関する参考文献として、以下のものをみておきましょう。

  1. 『現代に生きるキリスト者と霊性』

    1. ≪座談会≫今日における「霊性」と教会

      1. 「霊性」とは何か

      2. 神論・人間論・教会論との関係

      3. 「父なき時代」と「ニューエイジ」

      4. 礼拝説教とみことばの現実化

      5. 祈りと交わりの再発見

      6. 沈黙の必要

      7. 神学校教育と「霊性」

      8. 教会の交わりと「霊性」
         

    2. なぜ今「霊性」なのか 片岡伸光

      1. 祈りの経験

      2. みことばに聞く

      3. 共同体性の希薄化

      4. 活動主義を越えるもの

      5. 身体性の回復

      6. 信仰を生涯の視点で見直すこと

      7. 結び
         

    3. 福音的な霊性を求めて−三位一体と霊性− 坂野慧吉

      1. 三位一体の神の交わり

        1. なぜ、三位一体がわからないのか

        2. 三位一体の意味−「交わりにおいて一つ」

        3. 交わりの性質

      2. 三位一体の神と私たちの交わり

        1. 「一つ」ということの意味

        2. 一つとなることができるために

      3. 私たちの交わりを妨げるもの

        1. 交わりを妨げるもの

        2. 自分を隠すこと

        3. 交わりの回復

        4. 友との交わり
           

    4. キリスト者の霊性と人間的特質 工藤信夫

      1. 一つの問題提起

      2. 霊性の歴史

      3. 霊性と美

      4. 霊性と人間的な苦しみ
         

    5. 旅の空の下で−自分史としての神学的スケッチ− 後藤敏夫

      1. 霊性の新しい風

      2. 信仰的課題への目覚め

      3. 霊的二元論と個人主義の克服

      4. キリスト論的視点

      5. 教会論的視点

      6. 神の国の福音

      7. 力の伝道・霊の戦いについて

      8. カトリックの霊性について

      9. 地上を生きたイエス−霊性のモデル
         

  2. 『今日における霊性と教会』

    1. ≪座談会≫現代に生きるキリスト者と霊性

      1. 青年層の霊的渇望と教会

      2. ポスト・モダニズムの功と罪

      3. キリスト者像の生きたモデルがいない

      4. 弟子訓練とキリスト者像

      5. 時代に生きるキリスト者の指針が必要

      6. 個のニーズと教会での交わり

      7. 教会はもっと御利益を強調しよう

      8. ビーイング・ア・クリスチャンのモデルを作ろう

      9. キリスト者の霊性とポスト・モダニズム

      10. 神学教育に「学徒論」を

      11. 「福音派の左翼」とポスト・モダン

      12. 「聖化」と「霊性」

      13. 都会生活での霊性と教会

      14. 生活を変革する説教へ
         

    2. 信仰生活と霊性の養い 小渕春夫

      1. 教会生活と奉仕

      2. 人とかかわる奉仕に重点を

      3. 霊的訓練の導入にあたって

      4. 人格との出会いが人を変える

      5. 「霊的導き手」の必要性

      6. 霊性の養いは「聞く」ことに始まる
         

    3. 元福音派と呼ばれないために−神学学徒論のすすめ− 高木寛

      1. なぜ霊性の神学がないのか

        1. 実際的霊的生活の訓練と実践

        2. 伝道至上主義

        3. 聖霊万能主義

        4. 告白なくして神学なし

      2. 神学学徒論のすすめ

        1. 神学学徒とはだれなのか

        2. 全信徒の神学への促し

        3. 霊性の神学と神学学徒論の関係

      3. むすび
         

    4. 霊性の形成へのステップ 宇田進

      1. 「ポスト・モダン」と福音の「身証」

      2. 目指すべき信仰の現実態−ブローシュの提言−

        1. 神に栄光をささげる信仰

          1. 信念と聖書的敬虔

          2. 聖性の回復

        2. 律法主義

          1. 失われた活力

          2. 律法主義へのイエスの攻撃

          3. パウロの律法主義との決別

          4. ルターの発見

          5. キリスト者の自由

        3. 形式主義

          1. 恐るべき敵

          2. 信仰の中心性

          3. パスカルの変革の経験

          4. フランケの劇的な目覚め

          5. ボンヘッファーの内的変革

          6. 新しい革袋

        4. 人道主義的関心

          1. 人道主義的関心

          2. キリスト教の愛

          3. 真の信仰

          4. セサー・マラン

          5. ウィリアム・ブース

          6. マザー・テレサ

          7. コリー・テン・ブーム

          8. 私たちの最も大きな奉仕

        5. 超霊性(熱狂主義)

          1. 宗教的熱狂主義

          2. 信仰の巡礼

          3. 戦いと勝利

          4. ルターとカルヴァン

          5. アヴィラのテレサ

          6. マルティン・リンカルト

        6. 折衷主義

          1. 特異性という悪評

          2. ルターとエラスムスの論争

          3. ピーター・T・フォーサイスと新神学

          4. カール・バルトとドイツ・キリスト者

          5. 多元的社会の中の教会

          6. 公同主義と折衷主義

        7. 英雄主義

          1. 古代ギリシャの英雄と聖書の聖徒

          2. 一つの質的差異

          3. C.T.スタッド

          4. 信仰の業

        8. 真の信仰の回復に向けて

          1. 行動よりも存在

          2. 聖霊の剣

          3. 人格的経験
             

      3. 「霊性」は神学校から−霊性の形成と神学教育

        1. 現状の分析

          1. 霊性に関する聖書の教えの総合的な確認

          2. 新入生神学生たちの霊的成熟度についての現実的アセスメント

          3. 米国において、卒業生の牧会能力や霊的指導力に関して教会サイドに失望感が増大しているので、教会が神学校卒業生やクリスチャン・リーダーに何を期待しているのかについて、教師と学生がともにじっくり話し合う機会を持ちながら、神学教育に期待される実は何かについて確認しあう。

        2. 従来は、霊性問題を多く教会と家庭に依存してきた面があるが、今日の状況はだいぶ変わってきているので、在学中に目指すべき霊性がどのようなものであるかを確認しあう。

        3. 確認しあった霊性の形成のための道程と見取り図をまとめ、それの実現のために必要とされる学習と実体験から成る具体策をまとめる(過去のディボーショナルな古典や霊的遺産に親しむ、共同の祈りの場への積極的参加、みことばに対する熟慮・黙想の修練、霊性面での個人的なガイダンスなど)。

        4. 1979-80年にかけて米国の神学校協議会(Association of Theological Schools)が行った研究調査の結果、新入生の多くの者に霊性の欠落の事実が明らかにされたこともあるので、特に新入神学生のために、よく準備された霊性に関するオリエンテーションを欠かさないように努める。

        5. 教授会によるカリキュラムの再検討。近年、神学教育の「人格面や霊性の形成よりも技能(スキル)偏重」、「アカデミズム偏重」、「存在よりも行動偏重」の問題が反省されつつある。そこで今日、霊性面を扱う教科目の設置や、霊性の形成を核とする新しいカリキュラムの組み立てなどが重視されている。

        6. 学習と実践の統合を図るために、「ティーム・ティーチング」(一つのテーマや学習領域の教授にあたって、実践部門を含め神学全部門の教員参加による方法)を活用する。

        7. なによりも教師がモデルになることが求められるので、教師自身の日常の霊性の証しはもちろんのことであるが、教員採用の際にも、学歴や研究実績のみでなく、人格面、霊性面(教会生活を含め)を厳格にチェックする。今日、使徒信条の「我は聖霊を信ず」は告白していても、聖霊を「じか」に知らない神学教師かせかなりいるとも言われている。また、地球より重い魂を主に導いた経験のない神学校教師が増えているとも指摘されている。

        8. 霊性の形成問題を担当する専門の主事を置く。

        9. ときに自分流の、ある倫理的行動なり道徳的なあり方を、キリスト者霊性の表現と安易に考えてしまう可能性が強いので、教室、チャペル、個人的な交わり、カウンセリングなどあらゆる機会を通して、霊性を倫理的および社会的行動の問題とリンクさせる。

        10. 神学生批判の一番集中する点は、対人関係のまずさと社会的不適応であるので、できるだけ集団での、あるいは共同の諸経験、諸活動をとおして行う訓練の場を増していく。