ICI ホームページ表紙 9.終末論のゆくえ 1.教義学の「笠石」 2.19世紀−脱終末論 3.20世紀−終末論の復興 4.新しき視点と危機感覚 5.先駆としてのカント主義 6.実存集中 7.歴史感覚と救済史 8.未来感覚と歴史の神学 9.最後の審判と刑罰 10.嵐の中の刑罰の教理 11.絶滅説と福音派 12.バルトのユニヴァーサリズム 13.全面的ユニヴァーサリズム 14.多元主義的ユニヴァーサリズム 15.第二バチカン公会議後 16.聖書的終末論への礎石
Part 2
第9章 キリスト教終末論のゆくえ?
4.「新しき視点」(熊野義孝)と「危機感覚」
2011/07/19
「終末論」という用語−今日、九通りの意味で使用されいる(I.H.マーシャル)
元来は、
終わりの事柄に関する教理
個人終末論…人間の時間的死、霊魂の不滅、死から復活までの中間状態
世界終末論…キリストの歴史支配、神の国、キリストの再臨、時のしるし、死者の復活、最後の審判、世界の完成
現代神学において
「終末論的」(eschatological)−not 時間上の終わり but 意味上の「究極的」(ultimate)、「終末論的質=v(eschatological quality)
典型的実例−ジョン・A・T・ロビンソン『イエスと彼の到来』、『終わりに神−最後の事柄に関する一つののキリスト教的研究』
終末論の意味の「再発見」→終末論のもつ用語と事柄を新たに考え直すに至った=終末論の非神話化≠フ事態(ヘンドリクス・ベルコフ『確かなる希望』)
終末論は「新しき視点からの解釈によってキリスト教神学の中心的課題となってきた」(熊野義孝『終末論と歴史哲学』)
新しき視点とは
トールックの立場…神の啓示は預言的性格をおびたものであるゆえ終末論が神学の中心となる
ベンゲルの立場…聖書の黙示文学の記述を字義的に重んじて千年王国を説いた
「世界観神学」の立場を批判し、バルト中心の弁証法神学を源流とする
バルトによると
not 世界の終わり・時間上の歴史の未来 but 終末論は時間とはまったく何の関係ももっていない
再臨−not 黙示文学的世界観 but 少しも<現れる>はずがないもの
終末論
超越的威力をもって人間と歴史に対抗する恵みの叙述
永遠と時間の現在的な接点(キルケゴールの「瞬間」の概念−下敷き)
再臨−not 歴史上の未来の事件 but 「覚醒の瞬間」
人間の決断の中に投ぜられる永遠の稲妻の一撃=|信仰実存的事柄・信仰上の意味性≠フ呼び名
一種の非神話化