ICI ホームページ表紙 福音主義神学研究B はじめに [第一部]1.岐路に立つ教会 2.近代精神の九つの相 3.モダンの発展とゆらぎ [第二部]1.組織神学の退潮 2.神学形成の資料問題 3.神の啓示 4.ポストモダニズムの挑戦 5.神の死と神の変様 6.宗教的多元主義 7.キリストの贖罪 8.教会の理解と誤解 9.終末論のゆくえ 10.福音主義と日本の教会 11.神学と霊性の問題 12.神学的動向
はじめに
2011/07/19
『総説現代福音主義神学』の目標
十六世紀の宗教改革に根ざす歴史的な福音主義キリスト教の視点を尊重する立場から
今日の神学的状況と動向に関する分析と情報の提供
注目すべき問題点と主要な争点の指摘
福音主義を標榜する諸教会の核≠成すその信念体系≠フ確認と、
それに関するより一層の掘り下げへの呼びかけと、そのための一つの材料
講義の目標
宇田進著『福音主義キリスト教と福音派』をテキストにした『福音主義神学研究 A :歴史神学編』の簡潔な復習
エリクソン著『キリスト教神学』をテキストにした『組織神学T・U・V・W』の簡潔な復習
私たちが身に着けるべき神学的座標軸≠フ「歴史神学軸」と「組織神学軸」の関連の確認
「組織神学軸」の総論・各論の領域における
「状況と動向」に関する分析、「問題点と争点」の指摘、所属教会の「信念体系」の確認と掘り下げ
この講義ノートは、「わたしが共立基督教研究所に三年間内地留学しておりましたときに、わたしを神学研究者≠ノ育ててくださった恩師、宇田進先生の神学的洞察≠フ素晴らしさをできるだけ多くの方々に分かち合いたい。」という願いから出たものであります。また、ソロモン経済研究所所長の中野先生から「『福音主義キリスト教と福音派』の講義ノートの掲載に引き続き、『総説現代福音主義神学』が広く用いられ浸透していくように…。」とのメールをいただき、できるだけ早く『総説現代福音主義神学』をテキストにした講義と講義ノートの作成・掲載、分りやすいDVD講義録の製作をとその準備に取り組んでまいりました。
エリクソン著『キリスト教神学』を教え始めてちょうど十年ほどを経過し、かなりの速度で教えることができるようになりました。今年の後半は、「組織神学」の講義時間数に七時間の余裕を作り出すことができましたので、この時間を「組織神学補講」のかたちで『総説現代福音主義神学』を教えることとさせていただきました。わたしが教科書として使用しています『総説現代福音主義神学』の表紙の内側には、宇田先生からのハガキが貼り付けてあり、「どうぞ福音主義キリスト教の立証のためにこれからも大いに御活躍されますよう陰ながら御祈り申し上げます。」とあります。
私にとって「近代神学・現代神学・ポストモダン神学」の世界は、富士の樹海≠フようで、迷路≠フような世界でありました。しかし、宇田進先生の下での三年間の薫陶の成果により、「論議の見通しのきかない原始林に林道」をつけていただくことができました。私自身はそれを神学的座標軸≠ニ呼んでおり、歴史神学軸を『福音主義キリスト教と福音派』で身につけ、組織神学軸を『キリスト教神学』で身に着けることを目標としています。この歴史神学軸(横軸)と組織神学軸(縦軸)の空間を埋めていく「神学的状況と動向の分析」「問題点と争点の指摘」「信念体系の確認と掘り下げへの呼びかけ」を『総説現代福音主義神学』の学びを通して取り組んでまいります。
宇田先生の著作の特徴は、原理的分析≠ノあります。私たちが手ほどきなしに「近代神学・現代神学・ポストモダン神学」を読みますときに、情報量は豊かになっていきますが、整理することができない倉庫のような状態に陥ります。そのようなときに、宇田先生のこの著作を一 言一句丁寧に、宇田先生の神学的思索の足跡≠フ一歩一歩をたどっていき、牛の食事のように反芻≠繰り返し学んでいきますと、豊かな神学的な洞察力≠身に着けることができます。福音主義神学の視点から、議論の本質≠見抜く力を身につけていくことができるのです。そのことをお分かちすることが、このホームページの目標です。