エリクソン著作集

■著作の分類と整理
*
なお、エリクソンの著作の分類と整理、特徴の解説は、アーノルド・ハスタッドの論稿「ミラード・J・エリクソンの著作に関する文献的エッセイ」にあり、エリクソンの著作歴を立体的に理解する助けになる。ここではそれに合わせ、主著の増補改訂を軸に、三つの時期に分けてみる。
*
【第一期】　Christian Theology 第一版では、 The New Evangelical Theology で示された神学的営為の青写真に沿い、根本主義（Fundamentalism）が内包する課題の克服が焦点とされている。
*
①　エリクソンの初期の著作―
・The New Evangelical Theology（Revell, 1968）、
・Relativism in Contemporary Christian Ethics（Baker, 1974）、
・Contemporary Options in Eschatology: A Study of Millennium（Baker, 1977）。
*
②　組織神学の道具―
・Readings in Christian Theology（Baker）（3巻ものの資料集。第1巻 The Living God〔1973〕、第2巻 The Living God, Man’s Need and God’s Gift〔1976〕、第 3 巻 The New Life〔1979〕）、
・Christian Theology（Baker）（第1巻1983、第2巻1984、第3巻1985。一巻物の初版は 1986 に刊行）。
・Introducing Christian Doctrine（Baker, 1992）（L.A.Hustad が大学でのテキスト用にChristian Theology を要約した概説書）。
・Does It　Matter What I Believe? What the Bible　Teaches and Why We Should Believe It（Baker,1992）（一般信徒向きの教理概説。この Does It Matter? シリーズとして、ほかに「神の存在」、「救い」、「キリスト者生活」に関するものも出版されている）。
・Concise Dictionary of Christian Theology（簡潔な神学用語辞典）。
*
③ さらに深い学びのための著作 ―
・The Arnold Hustad, “Bibliographic Essay on the Works of Millard J. Erickson”, in New Dimensions in Evangelical Thought: Essays in Honor of Millard J. Erickson, ed. David S. Dockery (Illinois: Inter Varsity Press, 1998), 443-450.
・Word Became Flesh: A Contemporary Incarnational Christology（Baker, 1991）、
・God in Three Persons: A Contemporary
・Interpretation of the Trinity（Baker, 1995）。
*
④　エリクソンの三部作 ―
・Evangelical Mind and He art : Perspectives on Theological and Practical Issues（Baker,1993 ）、
・Evangelical Interpretation: Perspectives on Hermeneutical Issues（Baker , 1993 ）、
・Where Is Theology Going?: Issues and Perspectives on the Future of Theology（Baker, 1994）。
*
【第二期】　Chiristian Theology 第二版では、ポストモダン時代到来への取り組みがなされ、新しい章「ポストモダンと神学」が追加されている。この時期にはその関連著作が多くなされている。
*
①　エリクソンの関心・取り組み ―
・How Shall They Be Saved?: The Destiny of Those Who Do Not Hear of Jesus（Baker,1996）、
・The Evangelical Left: Encountering Postconservative EvangelicalTheology（Baker,1997）、
・Postmodernizing the Faith: Evangelical Responses to The Challenge of Postmodernism（Baker,1998）、
・God the Father Almighty（Baker,1998）。
*
② Chiristian Theology（Baker, 1998）（先の一巻物の第一版に改訂増補を施した第二版。邦訳『キリスト教神学』の底本）、
・Making Sense of the Trinity（Baker, 2000）、
・Truth or Consequences: The Promise & Perils of Postmodernism（IVP, 2001）、
・Introducing Christian Doctrine , 2nd Edition（Baker, 2001）、
・The Postmodern World（Crossway Books, 2002）。
*
【第三期】　Chiristian Theology 第三版では、ポストモダンは既知の事柄とされ、「ポストモダンと神学」の章は削除、各章の中に吸収され、再び第一版の「聖書のメッセージの本質とその今日化」の基本が“扇の要”として確認されている。また“扇の展開”として近年の神学における諸議論―贖罪、義認、予知の問題、そして新しい章「聖霊に関する近年
の諸問題」が追記されている。著者はそこでグローバルな世界宣教を背景に、今日のキリスト教会に潜在し、また広がりつつある神学的課題への処方箋を提示している。私はこの構造・構成に、永続的機能をもつエッセンシャルな神学入門書としての“扇の要―展開” 原理の完成を見る。
*
①　
・What Does God Know and When Does He Know It?: The Current Controversy over Divine Foreknowledge（Zondervan, 2003）、
・Reclaiming the Center: Confronting Evangelical Accommodation in Postmodern　Times（Cross way:2004）、
・Who's Tampering With the Trinity?: An Assessment of the Subordination Debate（ Kregel Academic & Professional, 2009）。
*
② Chiristian Theology, 3rd Edition（Baker,2013 ）、
・Introducing Christian Doctrine, 3rd Edition（Baker,2015）（第二版に改訂増補を施した第三版の要約版。本訳書の底本）。
以上のほかに James Heflin との共著による Old Wine in New Wineskins: Doctrinal Preaching in a Changing World（Baker, 1997）と、エリクソン教授65歳の誕生を祝して出版されたエッセイ集、D.S.Dockery,ed.:New Dimension in Evangelical Thought （IVP,1998）もある。また“下からのキリスト論”に関する論文（K.Kantzer and S.Gundry,ed.: Perspectives on Evangelical Theology〔Baker, 1979〕に掲載）、パネンベルクの歴史解釈に関するものと最後の審判に関する論文（Journal of the Evangelical Theological Society, 17, 1974 および同誌 28,1985に掲載）など、数多くの論文も著されている。

○　関連文献
What is Truth? -C.ヴァンティル、F.シェーファー、C.H.ヘンリー、D.ブローシュ、M.エリクソンの立場の比較研究- 　J.E.White （1994）

感想、質問、登録、注文、資料代金等の窓口 Mail-Address ：　aguro@mth.biglobe.ne.jp 　郵便振替口座番号： 01110-0-15025 加入者名：一宮基督教研究所
銀行口座：ゆうちょ銀行、金融コード：9900、店番119、店名：イチイチキュウ店、預金種目：当座、口座番号：0015025、受取人カナ氏名：イチノミヤキリストキョウケンキュウショ　